診療案内
歯列不正とは?
不正⻭列とは、⻭が正しい位置に並んでいない状態を指します。⻭並びが乱れていると、噛み合わせが悪くなるだけでなく、⾒た⽬や発⾳にも影響を及ぼすことがあります。不正⻭列 の種類には、出っ⻭(上顎前突)、受け⼝(下顎前突)、乱杭⻭(叢⽣)、開咬、交叉咬合などがあります。

交叉咬合

正中離開

過蓋咬合

過蓋咬合

反対咬合

空隙歯列

叢生

開咬
不正⻭列のままだと、どんなリスクがある?
不正⻭列を放置していると、以下のようなリスクがあります。

⾒た⽬への影響
⻭並びが整っていないと、⼝元の印象が悪くなり、将来の第⼀印象や⾃信に影響を与えることがあります。

むし⻭や⻭周病のリスク増加
⻭が重なり合っている部分は清掃が難しく、プラークが溜まりやすくなります。

⼼理的影響
⻭並びが悪いことがコンプレックスとなり、笑顔に⾃信を持てなくなることがあります。

顎関節症の原因
噛み合わせが悪いと、顎に負担がかかり、顎関節症を引き起こす可能性があります。

発⾳の問題
特定の⾳が正確に発⾳できないことがあります。

消化不良
噛み合わせが悪いと、⾷べ物を⼗分に噛むことができず、消化に影響を与える場合があります。
不正⻭列の原因
不正⻭列の原因はさまざまですが、主に以下が挙げられます。
遺伝的要因
親から受け継ぐ⾻格や⻭の⼤きさの影響。
悪い癖
指しゃぶり、舌の突出癖、口呼吸などにより、正常な発達が阻害されてしまうことがあります。
乳歯の早期喪失
乳歯を早く失うと、隣の歯が動いて永久歯が正しい位置に生えるスペースが不足することがあります。
食生活の変化
硬いものを噛む機会が減り、顎の発達が十分でないこと。
『歯ならびは親などからの遺伝的(先天的)要因が大きいと思われる方も多いかもしれませんが、実際は遺伝による歯ならびへの影響は10%程度と言われています。 それよりも、後天的な(生まれたあとからの)要因である、「悪い癖」「乳歯の早期喪失」「食生活の変化」の方が影響が大きい(約90%)と言われています。 特に『悪い癖(悪習癖)』は、歯ならびにとって最も悪影響が大きいものです。 本来、人間は鼻で呼吸をする「鼻呼吸」が正常なのですが、現代の日本の子供のほとんどが「口呼吸」をしていると言われています。皆さんのお子さんや、周りのお友達のお子さんを見ても、お口をポカンと開いているのをよく見かけませんか?普段、あまり意識して見たことはないかもしれませんが、お子さんがゲームをしていたり、集中している時に観察してみると、実は口がポカンと開いているのに気づくかもしれません。そのお口がポカンと開いているのは、お口で呼吸するために開いてしまっている『悪い癖』なんです。

本来、正常な『鼻呼吸』をすると、鼻で空気を吸ったり吐いたりするために、鼻が空気を通りやすくする必要があるため、鼻が高く大きく成長します。その時、上あごの骨は鼻の骨とくっついているので、鼻の骨格の成長に伴って、上あごの骨も成長します。それによって、乳歯より大きな永久歯が生えてきても、十分な大きさの上あごに成長していれば、ガタガタ(叢)などの不正歯列にはならないわけです。 また、下あごは、上あごの方が前にかみあっているので、上あごが大きく成長すれば、下あごも大きく成長できます。それにより、下の永久歯もきれいな歯並びになることができます。 ところが、『口呼吸』の場合は、お口で呼吸してしまっているため、本来の鼻からの呼吸をせず、鼻が空気を通すための十分な大きさに成長しません。人間は、使わない筋肉は細く痩せていくのと同じように、骨格も使わなければ成長しないのです。そのため上あごの骨が成長不足となり、永久歯がきれいに生え揃うだけの大きさに育たないため、ガタガタ(叢生)や八重歯になるなど歯列不正になってしまいます。また、下あごも上あごにかみあっているため、上あごが大きくなってくれないと下あごも成長できず、下の歯もガタガタ(叢生)など歯列不正になってしまいます。 つまり、今の子供達は、『口呼吸』により、顎の骨格が成長せず、顎が小さいため、永久歯がきれいに生えるスペースがないことが、歯列不正を引き起こす大きな原因です。



さらに、この『口呼吸』は、他の『悪習癖』も引き起こし、さらに歯列不正を悪化させます。 口を閉じて、鼻で呼吸をしていると、舌の先はどこにありますか?正常な鼻呼吸ができている人は、舌の先は上の前歯の裏の少しプクッとふくれた歯ぐきのところについているはずです。その場所を「スポット」と言います。舌がこのスポットについていることによっても、舌が上あごを前方に押してくれることで、さらに上あごが成長してくれることになります。 正常な鼻呼吸で、舌先がスポットに正しくついている人は、飲み物や食べ物を飲み込む時、唇は閉じたまま、舌先はスポットについたままで、上下の歯が軽く噛み合いながら飲み込むと思います。これが本来の正しい飲み込み方(嚥下)です。 ところが、口呼吸の人はこの正しい嚥下をしていません。『逆嚥下』と呼ばれる悪習癖です。 実際、口呼吸の人がどうやって飲み込んでいるのか体験するために、少し口を開けながら水を飲み込んでみてください。口を少し開けているだけでも舌先がスポットについておらず、その状態から飲み込もうとすると、舌が前歯をグッと前へ押してしまうはずです。さらに、ほっぺた(頬筋)や唇にグッと力を入れてしまうはずです。これが『逆嚥下』です。口呼吸のお子さんはいつもこんな飲み込み方をしているのです。 人間は飲み物や食べ物だけでなく、つば(唾液)を実は1日に2000回飲み込み(嚥下)していると言われています。その時にもし、『逆嚥下』をしているとすると2000回もの余計な力が歯にかけられているわけです。歯はだいたい20グラムぐらいの力がかかり続けると動くと言われているので、ワイヤー矯正などでは20グラムくらいの力をかけて歯を動かしていますが、この『逆嚥下』によって舌から前歯にかかる力はなんと約500グラム、頬や唇から歯にかかる力は200グラムという、ワイヤー矯正とは桁違いの大きな力です。それが毎日2000回もかかっていたら、歯は当然動いてしまいます。叢生だけでなく、出っ歯になったり、反対咬合や開咬になったりなども当然の結果と言えます。

つまり、歯並びが悪くなる原因は、 口呼吸により、顎の骨格が成長せず、永久歯が生えるスペースが狭い さらに逆嚥下により、歯に変な方向から余計な力がかかって歯が動いてしまう ということです。 つまり、ただ「歯ならびが(見た目)悪いなあ…」という単純な問題ではなく、呼吸や飲み込み方、顔の骨格の成長に原因があるということです。 今までの考え方では、この原因を治すのではなく、「悪くなった歯並び」のみを治すという「対症療法」が主でした。 お子さんの歯並びが気になって歯医者さんで相談した時に、「(大きくなるまで)このまま様子を見ましょう」と言われたことはありませんか? 顎の骨格が成長する時期というのは、だいたい10歳くらいまでと言われているので、その成長する時期を過ぎてからでは確かに骨格を大きくするのは難しく、歯を抜いてワイヤーなどで矯正するなど、できる治療は限られてしまいます。

しかし、まだ成長段階の小学校入学前後〜小学校低学年くらい(5歳〜9歳ごろ、できれば早い方が良い)では、成長不足の顎の骨格の成長を取り返すための「拡大床」や、悪習癖を治して成長を促すと同時に後戻りを予防する「マイオブレース矯正」など、原因から治療する原因治療(根本治療)が可能な場合が多いのです。「様子を見ている」間に、この時期を過ぎてしまうお子さんが多いのが大変残念だと思っています。


当院で行なっている小児矯正の治療法である『マイオブレース矯正』は、「拡大床」などで顎の成長不足を取り戻し、『悪い癖』がなくなるようにトレーニング(「アクティビティ」)しながら、「マイオブレース」というマウスピースを用いて歯ならびも治していくことで、治した後も『悪い癖による後戻り』のない、理想的な矯正法と言われています。

口呼吸や逆嚥下などの『悪い癖』を治して、顎の骨格の成長が正常に進めば、顔の骨格も成長し、顔貌もよりキレイ、かっこいい顔に成長できます。呼吸の改善により、脳の発達、身体の発達、肺など呼吸器系の発達、睡眠の質などにも良い影響を与えることができます。

歯ならびがガタガタ(叢生)の人・出っ歯(上顎前突)の人の場合
不正歯列の中でも最も多い症状が叢生です。見過ごされやすいことも少なくないですが、歯列やかみ合わせの状態ごとに80歳で20本以上の歯が残っている人の割合(8020達成者)を調べた調査では、歯ならびがキレイでかみ合わせが良い人(正常咬合)の8020達成割合が82%だったのに対して、 歯ならびがガタガタ(叢生)の人は、 ・上の歯が叢生の場合0% ・下の歯がガタガタの場合28.8% 出っ歯(上顎前突)の人は15.4% という報告があります。1)
残念ながら、この8020を達成しないということは、入れ歯(義歯)になる可能性も高く、私生活にも影響が出てしまう可能性は十分にあります。

叢生は8歳までに治療介入を!
小児矯正は治療タイミングがとても重要になります。適切な時期に治療介入ができれば、成長に合わせて顎を拡大させ、歯列やかみ合わせを整えることができるのですが、時期を過ぎてしまうと、それが叶いません。お口の状態によりますが、10歳まで治療介入せず、放置してしまうと、大人になってから歯の矯正をするにしても、歯を抜く必要性が高まってしまったり、ワイヤー矯正が必要になる可能性も高まってしまいます。
叢生の治療法について
当院では、まず、「拡大床」という小さい顎を広げる装置を使用し、歯が並ぶためのスペースを確保します。その後、「マイオブレース」というやわらかいプラスチックのマウスピース型の装置を日中1時間と就寝中に装着してもらい、それと同時に歯並びを悪くする習慣(悪習癖)を治すための「専用のトレーニング」を行って頂きます。

受け口・しゃくれ(反対咬合)の場合
前述した報告1)では、受け口・しゃくれ(反対咬合)の場合の8020達成者の割合は0%でした。叢生の場合と同様に治療介入の必要性が高い状態です。
反対咬合は8歳までに治療介入を!
反対咬合の中に上顎の発育不全によるものが多いです。そのため、上顎の成長を促す治療を行います。ただ、その成長時期には限りがあり、8歳くらいまでと言われています。その時期を逃してしまうと、顎の成長を利用することができず、大人になってから治療介入する場合は、骨切りという外科手術の必要性が出てきます。身体的な負担は勿論、費用も200~400万円近くなるので簡単に行える手術ではありません。
反対咬合の治療法について
当院では、叢生同様に「拡大床」で小さい顎を広げ、その後、「上顎骨前方牽引装置」を使用し、上顎の成長を促します。最後に、「マイオブレース」と「専用のトレーニング」を行い、改善を図ります。

1) 茂木悦子,宮崎晴代,一色泰成:8020達成者の歯列・咬合の観察-東京都文京区歯科医師会提供の資料より,日歯医師会誌, 52:679-626, 1999.
小児矯正の流れ
①歯科医師が検診で歯列不正について診査。歯並びが悪くなる危険性・小児矯正が必要かどうか保護者の方へ告知
②レントゲン検査(パノラマ・セファロ)・口腔内写真・歯型模型・口腔周囲筋の動きによる口呼吸などの分析
③お子様・保護者への問診・分析結果、小児矯正が必要かどうかの説明
④治療開始
注意・リスクについて
矯正治療には注意点やリスクも伴います。
治療の継続性
装置の装着や筋機能トレーニングの継続が必要です。中断すると効果が薄れる可能性があります。
⼀時的な不快感
装置の装着により違和感を覚えることがありますが、徐々に慣れていきます。
個⼈差
治療結果や期間には個⼈差があります。
⾃由診療について
当院の⼩児矯正治療は⾃由診療となります。
費⽤の⽬安
初診相談料 | 無料 |
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MRC 矯正(マイオブレース矯正) | 50万円(税込55万円) |
お⽀払い⽅法

最後に
矯正治療はお⼦さまの成⻑・⾃信に⼤きく寄与することができます。矯正治療はお⼦さまへの最⾼のプレゼントになると私達は考えております。お⼦さまの⻭ならびが気になる⽅はお気軽にご相談ください。
無料子ども歯ならび相談受付中
お子さまの歯ならびが気になる方には、院長の執筆した本を無料進呈中

当院では、習癖の改善はお子様の未来のためにとても価値ある治療だと考え注力してきました。専門の外部研修、施設基準、症例基準等を満たし、2020年にマイオブレース矯正(MRC矯正)の認定施設として認可を受けました。お子さんの将来を考えた時に話を聞いてみたいという方はお気軽にご相談くだい。
