「歯みがきだけではなぜ駄目なのか」
前回予防の大切さについてお話ししましたが今回は主にそもそも歯みがきはいつから始まったのか、歯みがきの歴史についてお話しします。
歯みがきをしないという人は、まずいません。毎日歯みがきをするのが当たり前になっていると思います。
この歯みがきという習慣、古くは紀元前からあったそうです。
当然、いまの歯ブラシのようなものはありません。麻の繊維を指に巻いて歯を掃除したり、草や小枝を使って歯と歯の間に挟まったものを取り除いたりしていたと言われています。
日本に歯みがきという習慣が伝わったのは飛鳥時代です。仏教とともに、大陸から伝わりました。
というのは、仏教の開祖であるお釈迦様が、起きてすぐに歯みがきをして心と体を清めることを日々の勤めとして取り入れ、仏教徒に広めたのです。歯みがきは仏教徒の戒律の一つでした。
そのため、まずは僧侶の間で広まりました。この頃には、「歯木」といって、小枝の一端を噛んで房状にしたものが使われていたようです。それが次第に貴族や武士などの上流階級にも取り入れられ、江戸時代になると庶民の間にも広まっていきました。
江戸時代に広く使われていたのは、現在の歯ブラシにつながる「房楊枝」というものです。柄の部分はカーブしていて、舌の汚れを落とせるようになっていました。つまり、歯ブラシと舌ブラシの両方を兼ね備えていたのでしょう。この房楊枝は大正末期ころまで売られていました。
なんだか歴史の授業のようになりましたが、歯みがきという習慣はそれほど昔からあったということです。
すっかり当たり前になっているので、「歯みがきが大切ということはわかっている・・・いまさら歯みがきについて教わらなくても・・・」「歯みがきなら毎日しているよ」なんて思うかもしれません。
でも、毎日怠らずに歯をみがいているにしても、ちゃんと効果的にみがけているかというと、そうとは限らないのです。何気なく毎日やっている歯みがきが、そのやり方によっては、口の中の状態をかえって悪くしてしまうことさえあります。
- 普段歯をみがく時、どんな風に磨いてますか?
- みがき方を意識していますか?
毎日の習慣だからこそ、何も考えずに手を動かしている人が多いかもしれません。
たとえば次のようなやり方をしていないでしょうか?
- 手を大きく動かして、3、4本の歯を一気にみがく
- ゴシゴシと力強くみがく
- みがく順番を気にしていない
- 歯の前面だけを磨いている
- 歯周ポケットに超極細の歯ブラシの毛先を入れてブラッシング
- 歯磨剤(歯磨き粉)をたっぷりつける
- 逆に歯磨き粉を使わない
- 同じ歯ブラシを半年以上使い続けている
- 電動歯ブラシなのに手を動かしてしまう
- 電動歯ブラシをどの歯も同じ角度であてている
ふだんの歯みがきを思いだしてください。心当たりがある人もいるでしょう。では次回は一つ一つなにがいけないのかみていきましょう。